『ドラえもん 新のび太の大魔境 ペコと5人の探検隊』−男のソーセージ−

                               ロボコップが黒くなって頑張っていますが、日本の青いロボだって負けてはいませんよ!!

                                      

今回の『ドラえもんのび太の大魔境 ペコと5人の探検隊』は1982年公開された『ドラえもん のび太の大魔境』のリメイク作品です。
リメイクと言っても添加物は、ほとんど入っていないのでミネラルウォーターなノド越し。と言っても上映時間が92分のオリジナル版に対してリメイク版は109分。このわずかに伸びた時間には心に沁みる、あるいはモヤモヤさせるような展開が詰まっていた。
物語はジャイアンが権力を振りかざし「何でもいいから秘境で大冒険がしたいから、早く何とかしろ!!」と無理難題をのび太に押し付けるところから始まる。ドラえもん率いるいつもの面々で構成された探検隊に補欠隊員の白犬ペコを加え、一行は秘境目指して元気よく、どこでもドアをくぐってアフリカ大陸に降り立った!!

リメイク版は原作が作った道筋を寄り道せずに進んでいくんですが、テーマである「友情」の描き方がちょっと違うんです。リメイク版では「友情」をより一層深く掘り下げようと試みた結果、掘り過ぎて「友情」を突き抜けて「友達以上ホモ達以下」の領域に侵入してしまい、その結果、しずかちゃんですら立ち入れない女子禁制の空間で、男とオスがフォンデュしているようなムードが全編に渡って充満。
ピュアで、真面目で、感性豊かな男の子が鑑賞したら「もしかして、女の子に興味を持つのは間違いなの?」そんな錯覚を引き起こし、眼を回すようなエモーショナルな場面がいくつかあるんです。
僕は上映終了後モヤモヤした気持ちを引きずって帰宅。いくつかのレビューに目を通すも誰もそのことに気付いてはいなかった…。みんな恥ずかしがっているのかな?

どこにそんな描写があったのか? 今回はそこに重点を置いて書いていこうと思います。
物語のカギを握る白犬ペコとのび太の出会いの場面からそれは始まっていた。オリジナル同様に、空腹で野垂れ死に秒読みのペコを救う為にのび太がソーセージを買い与えるんですが、リメイク版ではソーセージが友情のシンボルとして描かれており、のび太が肉を覆っているビニールを噛み切り、剥きたての中身をペコが頬張り、種族の垣根を越えた友情が芽生え始めるこの一連の流れに僕はセクシャルな何かを感じてしまってね。ソーセージ以上にペコという存在が、何かこう…ハートを刺激するんですよね。
ただ単にセクシャルでかわいいだけじゃなくて、ペコは体を張って男の傷ついたハートも癒してくれるニクイ奴なんですよ。
ジャイアンが見栄を張った結果、仲間を猛獣や土人が雑に転がる不法地帯に放り出す大失態が発生。自責の念に駆られて流すジャイアンの大粒の涙をペコが舐める場面は泣かせますよ。この場面だけで何回も泣ける!!元が取れる!!
仮にしずかちゃんが舐めたとしても、ここまで巨大なもらい泣きは起きませんからね。 起きるのは不純な感情だけです!!


九死に一生を何度も繰り返した末に探検隊が辿り着いた秘境、そこでは独自の進化を遂げて人間以上の科学力を手にした犬たちが住むバウワンコ王国。
そしてペコは、この国の王子様だったのだ。ところが今の王国はタカ派ダブランダー大臣の独裁政治がのさばっていた。リメイク版ではペコが王国から追放されてホームレスになるまでの過程がより一層ドラマチックに描かれていますが、そんなことよりも僕が気になったのはバウワンコ王国の犬たちは人間同様、衣類を身に着けて生活しているんですが、ペコは自身の正体を明かすまで普通の犬を装っていたんです。

つまり、ずーっと全裸だったんですよ。独裁だろうが支配だろうか、そんなものはどーでもいいんですよ!! 勝手にやってくれ!!
かわいい王子様が全裸で歩き回っていることの方が大問題。二回目観るときは価値観変わるよ


特筆としてダブランダーの頼れる部下サベールとのび太の一騎打ちは、オリジナル版とは全く異なる結末を迎えるので、気になる方は観て頂きたい。と同時に以前このブログでも紹介した『スノーピアサー』を撮ったポン・ジュノ監督が「野蛮な戦いはセクシャリティを出せる。」と言っていたことをふと思い出したんですが、サベールとのび太が互いに剣を抜いて激突する場面にも、そういう隠し味が含まれているのかもしれません。ソーセージや剣を使った比喩表現もありますが、スネ夫が尻を出すだけのストレートなセクシャルも一見の価値あり!!