『チキン・オブ・ザ・デッド 悪魔の毒々バリューセット』―あなたは、私のハッピーセット― 

*警告:力強くネタバレしてます。

先祖と鶏の魂を土足で踏みにじった巨大な代償。

先祖たちが静かに眠る深夜の墓地のド真ん中でバチアタリ男のアービーは恋人ウェンディに童貞を捧げていた。そして、物陰から二人のロマンスを生温かい眼差しで見つめつつ、自身のチンチンを慰める近所のホモ。掴みとしては最高のオープニングでこの物語の幕は上がる。

時は流れ、先祖たちが眠る墓地は取り壊され、その土地にはフライドチキンのチェーン店が建設された。
このチェーン店は開業当日より、地元の住人から「先祖に対する冒涜だ!」と苦情がフルスロットルな上に、そこへ過激な鶏愛護団体が合流したもんだから町は戦争勃発間近。
そこへヤジウマ感覚でやって来た無職のアービーはウェンディと再会する。なんと彼女は鶏愛護団体の一員になっていただけでなく、レズビアンにもなっていたのだ。かつて墓地で体を重ね合った最愛の女の子がデモとレズに精を出す二足のわらじ女になっていたことに、大激怒したアービーは彼女に反抗するため、このチェーン店で働くことを決意するのであった。
怒りに身を任せて、働き出したものの与えられた仕事はスカート着用の販売嬢。
おまけに店長はおっかないし、同僚は異常性愛のバカや体に爆弾をつけた過激派女子…。
ウェンディはいちいち営業妨害するし「この先、僕はどうなっちゃうんだろ…。」と食材倉庫の中で沈むアービー。
ちょうどその頃、店内では食材用に配達された鶏の卵に先祖たちの怒りと哀しみが憑依していた。不気味に変色した卵を何一つ疑うことなく食べたお客さん達は、即効性の腹痛と凶暴な下痢を大噴火。店内のトイレは戦場と化していった。



暴力オリンピック開幕!!












食材倉庫の中で腐っていたアービーの前に突如として姿を現したのは、未来の世界からやってきた年老いたアービーであった。
老人になっても彼はこのチェーン店でスカートを履かされ、こき使われていたのだ。
彼は残酷な未来を変えるため、時空を超えて進路指導をしにやって来たのだ!!スケールの大きい小さいは別として、凄い人生である。オールド・アービーはアービーを説得するため、とにかく歌って踊って大説教した。
その上の階で、異常性愛のバカがこっそりと自身のチンチンを鶏肉に装着して、無限の彼方へ旅立とうとしていた。
この瞬間、遂に先祖たちの怒りと鶏たちの悲しみがドッキングして大爆発したのだ!!
さっきまでソフトだった鶏肉が罪深きチンチンに牙を剥き、緑色の謎の液体をまき散らし始めたのだ。だが、異常性愛者にだって意地はある。男は最後の力を振り絞って、チンチンにぶら下がる邪悪な鶏肉めがけてパンチを連打!!
異常に気付いたアービーとウェンディではあったが事態は手の施しようのないことに……なんと下痢と嘔吐の大洪水を経て、来客たちは下痢や嘔吐よりも醜い鶏ゾンビに姿を変えて、人殺しを始めたのだ!!
自分でも何を書いているんだか、わけが分からなくなってきたが遂に鶏ゾンビとの壮絶な戦争が始まったのだ!!
こんなことで、店の経営は成り立つのか?ウェンディとの関係を取り戻すことは出来るのか?
そして下品と暴力が総力を挙げて正面衝突している、この幼稚な戦争の結末とは?

一見すると、単なるマヌケ丸出しの低俗映画のように見えるが、それは違う!!
実はファーストフード依存や、同性愛、迫害、などなどの社会的な問題を鋭く描き出した、生活に役立つ映画なのだ。
そんな気がする。