『300 帝国の進撃』〜地獄へ飛び込め、そしてアルテミシア様に息の根を止められたい〜



300人のスパルタ人で構成された「特攻野郎Sチーム」が血に飢えたペルシア人や忍者、魔術師、サイに戦いを挑む時代考証無しの天下一武道会映画『300』の続編である『帝国の進撃』は、1人の女の物語だった。
物語は前作で犬死したスパルタ人たちの遺志を受け継いだギリシア人がボロ船に乗り込み、男だらけの肉団子船は弔い合戦の舞台となる大海原を目指して発進!!
ところが彼らを待ち受けていたのは、千隻のペルシア大艦隊とこれまた戦争にもならない程の戦力差。しかし、家族の為、友の為、そして国の為に命を投げ打った男たちにとって数など問題ではない。算数など必要ないのだ。ここで必要となるのは殺るか殺らないかだ。殺るぞ!!


 本来なら逆境をものともせず戦う男たちを応援したいんですが、大艦隊を指揮する女傑アルテミシア様(エヴァ・グリーン)が登場した瞬間、僕のハートは彼女に根こそぎ持って行かれた。そして鞍替えした。
妖艶な輝きを放つアーマーに身を包む姫君、だが彼女が背負っている人生は黒くて冷たくて哀しい記憶にまみれており、ペルシアの女戦士であるが実は生まれはギリシア
幼年期に僕の口からは言えないような壮絶極まりない日々を送った後、ペルシア人の養子となる。
女を捨てた代わりに手にした殺人スキルと『アナ雪』のエルサをも越える強烈なレリゴー精神で男どもを蹴落とし、ペルシアを裏から乗っ取る怪物にまで急成長。
そして今、自分の人生を台無しにした故郷を滅亡させようと目論んでいたのだ。

 アルテミシア様って『機動戦士ガンダムUC』のマリーダ・クルスとそっくりな履歴を持っているわけですが、もしもマリーダがジンネマンに出会わなかったら復讐に狂ってしまったのだろうか? そんな絶対にありえない設定を実現させてしまったダークな姫君であることに間違いはない。
一口に「悪い女」と言っても魔女とか泥棒猫とか鬼嫁とか例えは色々ありますが、アルテミシア様の志は他の悪女の追随を許さぬほど高く、スイーツを召し上がった後はお口直しに取れたての生首に接吻し、迷うことなく味方を便所紙のように使い捨てる。その甘さと狂気を合わせ持つ罪深き唇から吐き出される命令は目の前で大暴れしているギリシア人以上に重大であり、屈強なペルシアの男衆はアルテミシア様のご機嫌を気にして今日も戦い、そして死ぬ。


↑アルテミシア様主催の反省会。その実態は公開処刑。つまりここでも死ぬ。


 いつまで経ってもギリシア人を倒せず残業ばかりする兵士たちにカンカンになったアルテミシア様は、ギリシアチームの大将テミストクレスを呼び出して話し合いの場を作る。ところがテミストクレスはアルテミシア様の色仕掛けに負け、彼女とセックスを始めてしまう。これは避けられない!!
ところが下半身はドッキングしていてもテミストクレスの心とチンコは最後まで折れなかった。男など暴力と性欲で押し潰せば支配できると信じていた姫君は冷静さを失い、取り乱したそのパンダのような真っ黒けな目もとには焦りが灯る。
普通なら海に向かって叫びたいところだが、アルテミシア様は海に油を撒いてダイナミックに放火して憂さを晴らす。
ちなみに姫君のおっぱいは、たれぱんだみたいでかわいかったです

 屈辱に満ちた夜が明ければ、ギリシアに対する恨みはどこかへ吹っ飛んで、姫君の心には長きに渡って封印してきた「女」の感情がうずき出すも殺しになれた彼女でも恋は初心者だったので、テミストクレス贈る言葉は「降伏してくれたら殺さずに私の仲間にしてやる。」と遠回りにも程がある脅迫じみた告白だった。お互い剣技という共通の趣味があるんだから、それを話題にすればいいのに!! 観ているこっちが余計な妄想をしてしまう始末。前作で好評だった異種格闘技戦が無くなってメロドラマ仕立てなので評価の分かれる作品だと思いますが、出会う時代を間違えた男女の物語として観ればこれはこれで良かったと思います。
マゾっ気のある男子は一見の価値あり!!


↑これを聴きながら出勤すれば君も社畜ソルジャーだ!!

300: RISE OF AN EMPIRE

300: RISE OF AN EMPIRE