『バッド・マイロ!』−肛門怪獣マイロ登場−

どこにでもいる平凡な会社員ダンカンは腹部に強烈な違和感をおぼえ、病院で診察を受けたところ、腸の中からポリープが見つかった。原因はストレスだった。
会社に行けばグズ上司とバカ同僚から精神的苦痛を浴びせられ、ヘロヘロになって帰宅すれば、妻との間にいつまで経っても子供ができないのは「あんたのチンコが欠陥品だからだ!!」と精神的侮辱を受ける始末。だが、彼のポリープは何故か鼓動を響かせ蠢いていた。

ある晩、とてつもない激痛を腹部に感じたダンカンは便器に腰を下ろし、サイレンのような悲鳴を上げながら、ウンコを噴き出していたら尻から何かが産まれた!!
ダンカンは出産と同時に意識を失ってしまう。
翌朝、出勤するとバカ同僚が何者かに惨殺されていた。

その後も腹痛は続いた。そして謎の殺人事件も続いた。
ある日、彼は遂に事件の真相と対面する。


そいつは激痛と共にダンカンの肛門から這い出て、ズボンをブチ抜き現れる。
そう、あのポリープだ!!
だが、ポリープとは仮の姿。その正体は鋭い爪と牙を生やし、黒くて円らな大きな瞳を持つ凶暴な怪獣だった!!
か、かわいい!!

この怪獣は夜な夜なダンカンの尻から発進し、彼にストレスを与える奴らを探してブチ殺し、再び尻へと帰っていく親孝行な奴だったのだ。
怪獣による殺人シーンも凄いが、ダンカンの強靭な肛門も凄い!!




既にギリギリの状況なのに「俺の尻からこんな化物が…」と心砕けるダンカンであった。
が、しかし、ダンカンは自身の体の一部でもある怪獣に次第に心を許すようになり、いつしか二人の間にはウンコと血にまみれた絆が芽生え始める。ダンカンは怪獣にマイロという名を与えた時、二人は完全に家族となったのだ!!

この映画って変態クローネンバーグ監督が1979年に撮った『ザ・ブルード 怒りのメタファー』にそっくりなんですよね。

『ザ・ブルード』では強いストレスを感じると虫の産卵のごとく、ポコポコと大量の子供を産み落とす女性が登場します。
もちろん産まれた子供は全員凶暴。子供たちは母ちゃんにストレスを与える奴らを殺して回る。という設定を本作ではもろに引用していますからね。

ザ・ブルード/怒りのメタファー リストア版 [Blu-ray]

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『バッド・マイロ』の監督がクローネンバーグ監督に敬意を払ったのか、あるいはただのパクリか。
その真偽は不明ですが、クライマックスでマイロが初めて発した言葉が生み出す感動は『ベイマックス』をも超える衝撃です。

そして、本作はストレスに押し潰されそうになりながらも、日々を生きる人にこそ観て頂きたい。
僕はこの映画から勇気をもらいました。
とりあえず、来週あたりに職場の無能な上司に尻を向けてみようと思う!!