嗤う分身

勤務7年。だけど影が薄いから誰からも注目されず、名前すらも記憶されない。そんな主人公サイモン・ジェームズ。(多分、童貞)
そんなバカな!!
でも、本当だ。

存在感は無いけど仕事熱心。なのに贈られる言葉は罵声ばかり。会社だけでなく母親からもコケにされる始末。出口の無い日々の中で、彼の唯一無二の支えは社内でコピー機を担当している女の子ハナ(ミア・ワシコウスカ!!)の存在だ。
もちろん、彼女にも名前は覚えられていないが何のその。

ハナは向かいのアパートに住んでいる。しかもカーテンは常に全開と無防備。これはもう覗くしかない!!
サイモンは夜な夜な望遠鏡を握り締めて、ハナに熱い視線を贈るというキモい行動に打って出た。
というか、同僚がミア・ワシコウスカだなんて羨ましいぞ!!

だが、そんなダークな幸せは長続きしなかった。
ある日、顔も声も、服装までも同じもう一人の僕が新入社員としてやって来たのだ。姿は同じだが、そいつの性格は攻撃的で必殺の口説き文句で小娘から近所のババアまで無差別に魅了して肉体関係を結ぶ。スーパー肉食系男子

人間的にはどーかしているが、話してみると意外と良い奴だった。もう一人の僕は、未だハナに本心を告げられずにウジウジしているサイモンに渇を入れ、ハナをデートに誘う勇気を与えてくれた。


ところが、デート当日。
もう一人の僕は「お前は奥手すぎるんだよ!代われ!!」と強制的に選手交代。
そのまま、ハナを連れ去っていった。
残されたのは、惨めな童貞と未払いのお会計だった。
あ、あんまりだ!!
その後もサイモンは変わることなく薄く社内に漂い、もう一人の僕にメロメロになったハナを寂しげに見つめ、「もうこれ以上悪くはならないだろう…。」と油断していたら、今度は今までコツコツ積み上げてきた仕事の成果までアイツに横取りされてしまったのだ。


もう我慢できん!!
怒り狂った陰気な童貞が遂に吠えた!!
人間誰もがあーなりたい、こーなりたいと理想を掲げるものですが、それがある日、しかも突然、自分と同じ姿でやって来て、ついでに仕事も人生もまとめて乗っ取りだしたら…。現実に起きなくて本当に良かったと安心したけど、他人事じゃない部分もあるから考えさせられる大人の映画だった。
と思う。

そして、当ブログでは今後もサイモンに負けない勢いでミア・ワシコウスカをしつこく付け回して行こうと思う!!
いや、この際だ。今年の抱負は「ミアを追う」でいい!!
決めた。今!!


映画の内容も凄いが、唐突に坂本九さんの『上を向いて歩こう 』などの昭和を代表する名曲が大音量で流れる演出も凄かった。