実写版『魔女の宅急便』の感想文を書く前に

世界的な人気を誇る『魔女の宅急便』を日本が実写化するという勇気あるアナウンスを聞いた時
何よりも驚いたのは、『呪怨』を世に解き放った清水 崇さんが監督だったからだ。
Jホラー監督と魔女の組み合わせ。文面だけで見ると邪悪な言葉の化学式。
ところが、ここから『ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック』をも越える淡くて苦い青春劇が誕生しようとは…。
清水監督、あんたって人は!!

本編の感想文を書く前に、どーしても言いたいことがあるんです。

今回のような人気作が実写化する際、必ず物議を醸す人が湧き出てきます。
その多くが実写化を否定する攻撃的な意見だったりするんですが、原作に対して全く敬意を示さない監督の手に渡ったり、演技も役作りもろくに出来ない俳優が、原作を平然と踏みにじるのは我慢ならないけど、それ以上に我慢ならないのは、本編をろくに観てもいないのに、手間暇かけて原作版と実写版の違いを探して笑っている奴です。

実写化するにあたって、原作との誤差が出ることは珍しくない。
そもそも、アニメや漫画の世界を実写化するって物凄くデリケートな問題ですよ。
例えばモデルとなる作品が古過ぎて、作る側が「これじゃ売れない…。」と判断して、新鮮な解釈を加える一か八かのアップグレードを試みるも、古いファンから叩かれ、逆に原作を忠実に再現しても今の人たちに「時代遅れ」と言われて叩かれ、需要と供給が全く合致せず、にっちもさっちもいかず総攻撃を喰らう。そしてコケる。

あと、日本の実写映画は安いって言う人いますよね?
確かに安いです。
特撮映画なんて「大ヒット上映中!!」なんてCMで言っていても、あんなの大嘘だよ。日本の特撮映画は何をやっても大赤字ですから。
だからと言って、お金を大量投入すれば解決できるという問題でもない。
衣装に懲り過ぎてオタクよりのコスプレ映画になる危険性があったり、二次元で通用するウソが三次元では通用しなかったり、実写化に立ち塞がる障害は、そこら中にゴロゴロしている。
ここまで来ると簡単には割り切れない領域に突入してきます。

知恵を集束させて解決策を求めて、切り詰めていくと「じゃあ、初めから実写化するなよ!!」という率直な結論に行き当たってしまう。
本当は実写化なんてしなければ、誰も傷つかないで済むのかもしれません。
それでも、僕らは心のどこかで実写に思いを馳せてしまう

もしも、原作を愛しているなら、迷うことなく実写版なんて観なければ良いし、もしも、観て不快な思いをしたら…その時は寝て忘れちまえ。
愚痴っぽい前書きになってしまいましたが、次は誰にも負けないような実写版『魔女の宅急便』の感想文を書かせて頂きます。

つづく