『エンダーのゲーム』―ひとりぼっちの英雄―

                   
                             

謎の侵略者から地球を守るため少年少女は高額な兵器と共に戦場へ。

これって日本のアニメや漫画などでは懲りもせず何百回と繰り返されてきた人気の高いシチューションですよね? ひょっとしたらその原点は『エンダーのゲーム』なのかも知れませんよ!! この映画でも地球を狙うアリンコ型宇宙人に少年少女が、思春期を犠牲にして闘いを挑みますからね。
この映画は1977年にアメリカのSF作家 オースン・スコット・カードさんが発表した『Ender's Game』を実写化した作品なんですが、僕は原作読んだことないんですが…これは物凄く残酷で、夢のあるシチュエーションなのに何でこんなにも哀しいんだろ…。観終えたあと涙は出るわ、ガンダムエヴァが現実にならなくて本当に良かったと思えてきますよ。

アリンコが操縦する無数の円盤と巨大戦艦が地球に殴り込んでくるところから始まるわけですが……。
はたしてアリンコが円盤や巨大戦艦を作ったり、操縦したりできるんですかね?
僕はアリンコがテクノロジーを持つというインテリな設定に…何かこう…納得がいかないんですよ!! 人間を奴隷にして砂糖を作らせる程度なら許せるが、円盤や巨大戦艦は造るな!! 変な映画にしか興味を持てないボンクラ野郎がそこまで言うなと思うかもしれないが、僕にだって絶対に曲げられない思想はある!!

まぁ、それはそうと。この物語は二人までしか子供を授かってはいけない二人っ子政策(ただし二人までの教育費は国が全額負担)がまかり通る未来が舞台で勉強熱心で優秀な子供たちは軍の恩恵を受けて兵士としてのハードな将来が約束されている。
ウィッギン家の長男ピーターは、成績は良いが性格が暴力的過ぎるため落第、次に誕生した長女のヴァレンタインもまた成績は良いが性格が優し過ぎるため落第、だが二人とも優等生であることに変わりはない。そこで政府は「元気な優等生を産んで頂きたい!!ただ三人目の教育費は自己負担で!!」と特別に3人目出産の許可が下りる。大人たちの勝手な期待を押し付けられて誕生した次男は「終らせる者」を意味するエンダーとこれまた期待がフルチャージされた特別な名前まで与えられた。エンダーは期待通り優等生になるも、頭からお尻まで特注品扱いされるだけでなく、学校には暴力的な同級生がいるわ、帰っても暴力的な兄がいるわ…この世は敵だらけだ。心も体も胃も傷つくことばかりの日々に苦しむエンダーを優しく受け止め、理解してくれたのは姉のヴァレンタインだった。その結果、不当な暴力から身を護るためエンダーはズル賢くてどこか陰のあるシスコン少年に成長する。

ズルをしてでも身を護る姿勢が高く評価されたエンダーは宇宙に建設されたバトル・スクールに転校。
学校名は幼稚だがバカにしてはいけない!!
そこには自由などという甘い言葉など聞こえないふりをする非道な教官の鋭い視線に監視された空間での猛勉強。権力を武器に威張り散らす上級生がのさばる子供たちだけの縦社会。そんな環境下でエンダーは指揮官としての一面を見出す。その勇姿を目の当たりにした時、誰もが彼の後を追い始める。そして今ここに大艦隊を指揮するシスコン学級委員が誕生したわけだが、期待が増せばそれに応える成果を求められる。エンダーが安らげる場所はどこにも無かった。時には重荷から解放されて姉の待つ実家に帰りたいとも望んだ。だが自分は何のために産まれたのか…。
地球を救う為に将来を捨てたその姿は、もはや子供ではなく兵器を動かす小さくてもろい歯車であった。

ある日「もしも…相手にも心があるのなら? 話し合いでこの戦争を終らせることができるのなら?」と大人たちとは別方向の解決策をエンダーが思いついた時、『無敵超人ザンボット3』をも越える哀しい結末が少年に降りかかるのであった。