『サプライズ』‐気の毒な殺人鬼たち‐

               
                     

去年公開され、これまた色々あって観に行けず涙を呑んだ映画『サプライズ』が唐突に近所の映画館で上映開始。まさにサプライズ!!
上映してくれて本当にありがとう!! 去年観ていたら確実にランキングが変動していたこと間違いなしの面白さ!!

金持ち両親の結婚35周年記念パーティーを祝うため息子たちが自慢の嫁や彼女を引き連れ、束になってやって来た。
心優しい両親を祝うどころか顔を合わせるなり「このバカ!!」「デブ!!」と幼稚な罵声を連射して、家族の絆を台無しにするクズ息子たちのけなし合いはとどまることを知らず。そんな低レベルな小競り合いがピークを迎え、ざわめく晩餐に「お前ら全員黙れ!! 今、何時だと思ってんだ!!」と言わんばかりに猛スピードで飛び込んできた大量の矢が一家をまとめて恐怖のどん底に蹴落とす。

不気味な動物マスクと破壊力満点な武器を装備した殺人鬼たちにロックオンされてしまった一家。外は真っ暗、近所に人はいない、もれなく携帯電話の電波も届かない絶体絶命の危険地帯。だが、殺人鬼チームはこの時、自分たちが犯した最大のミス…それはこの一家の次男の彼女 エリンを敵にまわしたことに気づいていなかった。

普段のエリンはおとなしそうに見えるが、非常事態に陥ると体中に染み込んだ「どんな状況下でも生き抜けるサバイバル戦術」のスイッチがONになってしまう普通とは違う女子力を秘めた女の子だった。殺人マシンと化したエリンはパニックに陥っている人や使えない男どもを落ち着かせ、べつに頼まれてもいないのに部屋中に『ホーム・アローン』(90)に引けを取らない、味わい深いトラップを手際よく配置して敵を皆殺しにする準備を始めてしまう。
このギャップがたまらん!!

エリンは人殺しの技術を持っているけど、体は枝みたいに細くて敵との体格差は一目瞭然。
それをカバーするため台所や地下室で調達した尖ったもの、重いものを握りしめ背後から忍び寄って、頭部にズドンと必殺の一撃をお見舞いする。しかも一度殴り始めたら相手が死ぬまでその手を止めない! 死んでも頭がミンチになるまで殴り続ける余念の無い天誅を目の当たりにした家族の心境は言うまでもない。文面だけなら物凄く残酷だけど、演出が過剰なので笑ってしまう。(もちろん、そこは監督の目論み)

さらにこの一家の母親役を演じたバーバラ・クランプトンは、ド変態ホラー映画『死霊のしたたり』(85)で全裸ヒロインを熱演したステキな女優さんでね。
バーバラは歳を重ねてもかわいかったなぁ〜 これで元は取れたぞ!!
そんなホラー映画好き以外には、まったくどーでもいい部分を含め『サプライズ』は恐怖と笑いに満ちた最高の映画なのだ!!