『オーガスト・ウォーズ』―そして母になる―

               


↑この映画は銃弾飛び交う戦場に1人取り残された息子を命がけで救出するド迫力お母ちゃんのド根性を描いた、実話ベースの愛と命の物語なんですが…。

日本版予告を作った奴がバカだったため、見ての通り変形する悪のロボットが大暴れするトランスフォーマー風味な映画にしか見えないインチキ編集を施され、この映画は日本国内では「史上最悪の予告詐欺映画」という不名誉な称号まで与えられる始末。
「空想は現実となり」 無い無い! そんな夢のあるシーンなんて1秒も無い!!

この物語の主人公であるシングルマザーのクセーニアは大企業で働くおニューの恋人に夢中な日々を送っていた。
だが、クセーニアの息子のチョーマはこのおニューとの相性が非常に悪く、「このままでは彼と再出発できない!!」と危機を感じた彼女はチョーマを元夫が住む村へサッサと追い払ってしまう。その姿はもはや母親ではなかった。
「これで邪魔者は消えたわ!! これで思う存分彼に甘えられるわ!! セッ―――――――クス!!!」と
鼻息を荒くして身支度していると、彼女の目に飛び込んできた残酷なニュース。
それは、元夫とチョーマがいる村が戦争状態に突入したという衝撃的なものであった。

クセーニアは「今すぐ、息子を返せ!!」と手前勝手な要求を乗せた怒りの電話を元夫に発信するも、「戦争なんて絶対に起きない!!このバカ!!」とシラを切られて拒否され、おニューには「僕には関係ない!!」とまったく相手にされず、覚悟を決めたクセーニアはたった一人で、『プライベート・ライアン』をも超える出たとこ勝負の息子救出大作戦を決行する。

現地に到着するとそこには既に軍の人間がウロウロして交通機関に制限をかけていた。
クセーニアはシングルマザー・パワーを爆裂させ、軍人の忠告を踏み越えて自発的に危険地帯へと進撃して行く。
日が暮れた頃、夜空に無数に輝くミサイルの雨、爆音、炎が「ここではお前の常識など一切通用しない、ヤワな草食系男子なら3秒でくたばる地獄だ!!」と突き放す。
それでも、挫けず、怯むことなく前進するクセーニアの勇姿に冷たい態度をとっていた兵士たちは敬意を払うようになり、今ここに軍人とシングルマザーで構成された前代未聞の特殊部隊は誕生する。


一方、荒廃した村にただ一人残されたチョーマは流れ弾が当たり、身も心も衰弱していた。恐ろしい現実から逃れるためチョーマは力を振り絞って自慢の妄想癖をフルスロットル!!
その時、幼い少年の円らな瞳に映った戦車は凶悪な巨大ロボットに、ジープが獰猛な金属怪獣にトランスフォームし始めたのだ。
(これが予告編に出ていたロボットたちの正体です。)

         
チョーマの視点で描かれる部分はファンタジーですが、「トランスフォーマーのパチモン」などとコケにしないで頂きたい。
兵士たちとお母ちゃんが危険地帯を突破するシーンはとにかく凄い!!
マイケル・ベイ監督以上の破壊願望が吹き荒れる戦場で、待ったも無ければ手加減も無いリアルな巨大暴力が束になってシングルマザーに襲いかかる!!
そしてチョーマが待つ村まで残り5キロ。
兵士たちは生活に役立つ貴重品をクセーニアに渡し「ここは俺たちに任せろ!! お前は子供のもとへ走れ!!」と
クセーニアを力強く送り出す。


遂に最愛の息子チョーマと再会することのできたクセーニア。
かつては大切な子供をホッポリ出して、バカおニューに愛を注入していたダメ母ちゃんの姿はもはやどこにも無い。
クセーニアは手際良く軍の車を盗み出し、意志がもうろうとしているチョーマを助手席にライドオンさせて安全地帯を目指してスクランブル発進!!
ここから繰り広げられる泣かせる展開に君は耐えられるか?
僕には無理でした




またね。



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