『エリジウム』―永遠に埋まらない、宇宙よりも深い溝―

ウルヴァリン SAMURAI』、『スーサイド・ショップ』、そして今回の『エリジウム』。
この3作品につながりはない。
だが、どれも「命」という重いテーマに勝手に受け継いだ日本の魂をトッピングさせた、良い意味で大人げない大傑作たちであることを力強くここに記したい。
          
                    
       
               
                                

                   

2154年。世界は2つに分断されていた。
1つは歯止めの効かぬ人口増加や手の施しようの無い環境問題に背を向け、地球を捨てて宇宙にねぐらを作って生きるセレブどもの楽園エリジウム
そしてもう1つは見放された死にかけの惑星・地球。
そこに残された人々は目には見えるが絶対に辿りつけない上の世界に憧れ、裏ルートで購入したエリジウム行きの片道切符を握りしめて命がけの侵入作戦を企てる。

宇宙に浮かぶセレブのねぐら「エリジウム」。
そこでは医療技術の最先端が集束しておりエリジウム市民は病気やケガ、老化すら恐れることなく100歳以上の寿命を手にしていた。
実はこのエリジウムを支えているのは地球の労働者たちだった。それも劣悪な職場で使い捨ての歯車となって働く低所得者たち。
それなのにエリジウムの金持ちどもは、地球で頑張る人たちをばい菌扱い。我慢ならん!! 
エリジウムで治療を求める地球人は、隙あらば激安宇宙船に乗って侵入を試みる。
だが、それを断固として許さないエリジウム防衛省長官・デラコート。
地球に潜伏しているニンジャ戦士・クルーガーに彼女が一声かければ、地球人たちの願いは瞬く間に宇宙のちりとなる。
         
           
             

               
                      ニンジャ・ミサイル 発射!!

見ての通り僕はジョディ・フェチなんですよ。
彼女は何歳になっても可愛いなぁ〜。結婚してくれ!!
今回ジョディが演じたデラコートは、生きるために仕方なくエリジウムに侵入してくる地球人を容赦なく殺処分する独裁者。支持率低下もなんのその、限度を超えた治安維持に部下の顔も引きつる始末。
デラコートの出番は少ないものの、やっぱりジョディの存在感は横綱級。しかし、何故デラコートがここまで強烈に地球人を嫌うのか? その理由は最後まで明らかにされないんですよね。コレは気になる…。
なので、欲を言えばデラコートの過去を描いたテレビドラマを撮って頂きたい。
「デラコート、わかんな〜い。」と洋菓子のようなスイートな魅力をフルチャージした幼少期から始まり、エリジウムのセンターに君臨するまでの波乱万丈記。
観たいなぁ〜。

まぁ、それはそうと。この物語の主人公マックスもまた、劣悪な職場で汗水垂らして働く地球の労働者なんだけど、このマックスがとにかく、かわいそうでね…。
職場のバカ工場長のせいで凄まじい労災に遭って余命5日と宣告され。マックスは生きる為に近所で違法にエリジウム行きのチケットを売りさばくバカ友の家に行き「何でもするから、エリジウム行きのチケットくれ!!」とガードの甘い発言をした為に、バカ友が企てるエリジウム市民の財産略奪作戦に強制参加。
そしてバカ友が「まずはこれを着ろ。話はそれからだ。」と言ってマックスに渡したのは、人間の身体能力を大幅にアップグレードさせる大リーグボール養成ギプス風味な強化外骨格・エクソ・スーツだった。

マックスの肉や骨、脳ミソは手際よく削り取られ、空いた部分にエクソ・スーツを埋め込み、ネジで皮膚に直接固定。雑すぎる改造手術に加え「スラムのニンジャ」という子供じみた称号まで与えられたマックス。
ところが、この略奪作戦は大失敗。その上、マックスはクルーガーにロックオンされてしまう。瀕死状態となったマックスは最後の力を振り絞って、秘かに想いを寄せる近所の幼なじみフレイの家に転がり込む。マックスは彼女に傷の手当てをお願いして、お近づきになろうと試みる。大好きな女の子に傷の手当てをしてもらう。これぞ男の本懐!!
ところが、彼女は既に子持ちだった!! 
今まで味わった苦しみをも超える衝撃がマックスを襲う!!

一日の授業が終わり、夕焼けが見え始めた頃「今日こそ、大好きなあの子に告白しよう!!」と決心するクラスで一番地味な男子が勇気を出して彼女のいる教室のドアを開けたら、大好きなあの子が憧れの先輩とチューをしていた…。
それぐらいの衝撃があったに違いない。
恋に破れ、自転車を手で押して帰る高校生のような顔つきで「じゃあ、俺、もう行くから…。」と出て行こうとしたとき、フレイが意外な言葉を口にする。

                 「お願い、マックス。私の子供をエリジウムに連れてって!!

だが、今のマックスには幼なじみのお願いすら届かない。
マックスがフレイの家を出て行った後すぐに血に飢えたクルーガーが怒鳴り込んできてフレイに乱暴狼藉。
そして、あろうことかクルーガーはフレイに一目惚れ
あらゆる意味でマックスの本当の戦いが今始まる。
哀しみを勇気にかえて闘え!! マックス!!