『ウルヴァリン SAMURAI』-惚れたら地獄、日本縦断二人旅-


                  
『マン・オブ・スティール』に引き続いて、ハリウッドが我が国に送り込んだヒーローはまたまたウルヴァリンだった。
しかも今度は『崖の上のポニョ』の舞台のモデルとなった広島県 福山市鞆の浦に殴り込む!!
「ポニョ、宗介好き!!」ならぬ「ウルヴァリン、日本好き!!」な展開を親日と観るか、国辱と観るか。
今、君の幼稚なハートが試される!!

2000年から始まった『X−メン』シリーズも気付けば6作目。第1作目からしつこく追い続け、皆勤の称号を持つ身として、今回の最新作『ウルヴァリン SAMURAI』はスケールは最も小さいがバイオレンス度とエッチ度が最も高く、同時に何かこう…深夜の萌え系アニメみたいだった。
「たった一人の草食系男子のもとに属性豊かな女の子たちが大集結して、ロックオンした男子をあの手この手で奪い合う。」
日本のアニメや漫画で使い古された、この歪んだ男の夢が絶妙な隠し味となってウルヴァリンの世界にコクと深みを与えたのだ。
結論から言えば、今回は映画はミュータントが人類に戦いを挑む壮絶なお話でも、人類から差別されるミュータントたちの哀しいお話でもない。ウルヴァリンのもとに可愛い女の子たちが寄って来たと思えば、血に飢えたヤクザたちも束になって寄ってくるわ、冷酷なニンジャ軍団や巨大武者ロボットまでもが乱入してやりたい放題。もう勝手にしてくれ!!
この物語はそんなお話です。
*『ウルヴァリン SAMURAI』は過去の作品を観て予習してから鑑賞することをオススメします。

物語は1945年の長崎から始まる。

日本兵に捕らえられたウルヴァリンは井戸の中に閉じ込められていた。
長崎上空に侵入したB−29を目にした日本兵 矢志田は大急ぎで捕虜たちを、そしてウルヴァリンを解放する。
投下される原子爆弾。迫り来る巨大な炎から矢志田を護ったのはウルヴァリンだった。
神経質な今の日本では映像化されないであろう、この大惨事をまさか米国の手によって描かれる日が来ようとは…。

時は一気に流れて未来。
ウルヴァリンはカナダの山奥でホームレス生活を送っていた。
世界を護るためとは言え最愛の女性 ジーンを殺害してしまった彼の心は既に死んでいた。
そんな彼のもとに、赤毛宮崎あおい風味のパッツンな髪型と個性的過ぎる顔を合わせ持つ神秘的な女の子ユキオが現れ、
あなたのお友達が死にそうなんで、私と一緒に日本まで来て!!」と告げる。
                                 
                           

                   
罪の無いクマの命をもてあそぶバカどもに自慢の日本刀でカツを入れるユキオたんの勇姿。↑
刀を鞘に「チンッ!!」とおさめた後に物体がバラバラになる和の心がこもった演出がニクい!!

突如としてウルヴァリンの前に現れた謎の暴力小娘ユキオ。
このガーリーな戦闘スキルにさすがのウルヴァリンも息を呑む。しかし、それ以上に衝撃的だったのはユキオが乗ってきた送迎用の車の中が物凄く汚かったことだ。多分臭かったと思う。彼女は何一つ恥じることなく、客人であるウルヴァリンをポテチの喰いカスが散乱するゴミ助手席に乗せて、イタ車ならぬキタ車は問答無用に発進。
個人的な妄想ですが、ポテチじゃなくてチョコレートだったら更に可愛かったと思う。
口のまわりをチョコレートでベタベタにしたユキオたんに
私からのバレンタイン・チョコ!!」と言ってチューされたいな。僕は。

日本に上陸したウルヴァリンは大きな屋敷に招かれる。
そこで彼が目にしたのは、戦友 矢志田の年老いて弱りきった姿であった。
そして彼はウルヴァリンに「お前の不老不死を私にくれ!! 今すぐ移植してくれ。」と申し立てる。

かつての戦友は頭がどーかしてるし、その息子のシンゲン(真田広之)は一目気にせず怒鳴りまくるわ。孫娘のマリコには「あの人、臭い。」と言われ、凶暴なババアが待ち伏せる風呂に放り込まれてデッキブラシで体の汚れと共に自尊心も洗い流されてしまう。(尻丸出しで立ち向かうウルヴァリンの姿は一見の価値あり。)
「何で俺はこんなつらい思いをするために、わざわざ日本に来たんだろ…。」
現実から逃避するためウルヴァリンは眠りにつくと、夢の中で最愛のジーンが突然、しかもシミーズ姿で現れ、彼の耳元で「お前のせいで私は…。」と恨み言をぶつぶつ呟き、安眠妨害を開始したと思えば、「私、本当はね。一人ぼっちで寂しいの…。」とアメ玉を欲しがる少女のような無垢な顔つきで囁き出す。
こんなエッチな夢を健全な男子が毎晩見たら。お母ちゃんの眼を盗んで汚してしまったパンティーをこっそり洗濯する日々に悩まされるだろう。

ある晩、矢志田が急死する
ウルヴァリンは悲しみに沈む遺族と共にお葬式に参列すると、お寺の屋根にはどうどうとニンジャが立ってるし、坊さんは入れ墨してるし、あらゆる意味で何かがおかしい…。
何と、入れ墨した坊さんの正体はヤクザ!! ヤクザたちの狙いは孫娘のマリコだった!!
マリコを護るためウルヴァリンとユキオは大暴れ。
だがその時、ヤクザの放った銃弾がウルヴァリンの体に味わったことのない激痛と恐怖が走る。
                「不死なのに傷が癒えない。」
追われる身となったマリコから目を離すことが出来なくなったウルヴァリンは彼女の手を引き、男らしくパチンコ店にフラフラ、ラブホテルにフラフラ殴り込む。マリコはそんなにウルヴァリンにウンザリしつつも二人仲良く布団インしちゃうんだから、男と女の関係は複雑である。
初めて直面する死への恐怖に怯えながら、たった一人でおてんば姫を護る孤独な戦いが今、始まる。                     
                 
↓日本と言えば新幹線!! 意地でも日本をリスペクトした死闘を観よ!!
                      
新幹線の中で猛追撃してきたヤクザたちと鉢合わせ。こーなったら、やることはお互い1つだけ!!ドリャー!!
だが、奴らは刃物1本で新幹線の屋根にへばりつくことができるスーパーヤクザだった! これは手ごわい!!

余談であるが、ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンマリコを演じたTAOさんのアジアンな魅力に大興奮。その結果、即興のキスシーンが誕生したという。TAOさんはこのサプライズに舞い上がり、スキップしながら帰宅したとのこと。
大物俳優の権力を作品の質を高めるためではなく、自身のスケベ心を満たすためだけに使うヒューに僕は我慢ならん!!
このバカ!! 男らしくない!!
だけど、うらやましい…。
もしも僕にヒューと同じくらいの権力があれば、ユキオを演じた福島リラたんと結婚したいな。僕は!!

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