『アップサイドダウン 重力の恋人』 ―見上げればそこに君がいる―

                   
                     
         宇宙のどこかにある不思議な惑星で「恋」と言う名の魔法が世界を変えた

この物語の舞台となる惑星には空が無い
空の代わりに巨大な「上の世界」が広がる。そう、この惑星には上と下にそれぞれ独立した世界が存在しているのだ。
だが、同じ惑星にありながら上は金持ちだけが住むスーパーセレブワールド。下は荒廃した土地と崩れた建築物、ボロ着をまとった人々がギリギリの生活を余儀なくされる巨大負け組帝国がどこまでも続いていた。
この2つの世界にはそれぞれ引力が働いているので、世界が落ちて来ることもその逆もないのだ。
それ以外にも、この惑星にはいくつか物理的な法則があって……「なんでこんなマヌケなブログで理科の勉強をしなければならないんだ…。」とウンザリするかもしれない。確かにマヌケなブログです。だけど最後まで読んで頂きたい。

1・反対側から来た物質(通称・逆物質)はそれが生まれた世界に引っ張られる。
2・逆物質に数時間接触すると高熱が発生する。
3 上の世界の人間と下の世界の人間が愛し合うことは重罪

今からお話しする映画は、引力によって引き裂かれた男女が「恋」と言う名の魔法で引き合う、甘く切ない物語です。
と同時にこの映画は、今の日本で希薄と成り始めている男女の関係にカツを入れてくれるステキな映画です。
僕は女の子が彼氏にニコニコしながら話しかけているのに、彼氏はケータイいじりながら「へぇ〜。」とか「ふ〜ん。」とかテキトーな返事をする、そんな光景が大嫌いなんですよ!!
もっと大切にしなきゃ!! 何様のつもりだ!! 男は命がけで女の子の話に耳を傾けなきゃ駄目ですよ。
そのバカ彼氏に「今すぐ彼女に謝れ!!」 とまでは言いませんが、今すぐ死んでくれ!!

下の世界で孤児として育った少年アダムは山に登って上の世界をボーっと眺めていると、そこへ上の世界に住む少女エデンが現れ、
2人は恋に落ちる。
だが、世界はこの密会を許さなかった。目撃した警備隊によって二人の交流は乱暴に絶たれてしまう。    
                    
                                10年の月日が流れる
ある日、アダムは偶然エデンの居所を知ることになる。彼女は上と下の世界をエレベーターのように繋ぐ巨大企業「トランスワールド社」で働いていたのだ。アダムは近所の仲間たちの説得をシカトしてこの会社に入社する。
当然、アダムは会社に貢献する気なんて毛頭ない。目的はただ一つエデンにもう一度会うためだ。
偽名を使い、彼女に大接近してデートの約束をすることに成功する。
だが昔のように密会してチューするのとは違い、上の世界への侵入は最初に紹介した3つの法則を全て破る危険度マックスの試みであった。
アダムは社内でくすね取った逆物質を体中にトッピングして「上の世界」に元気よく侵入する。だが時間経過と共に体に触れている逆物質が高熱を出し始め、ジワリジワリとアダムの肌を焼く。彼は火傷の痛みに耐えながら彼女との会話を楽しむ。僕は人生を棒に振ってデートする男の姿に僕は弱いんですよ。
ケータイ男ども見ているか? これが真に優しい男の姿だぞ。



しかし、ここで大問題が起きる。
なんとエデンは記憶喪失に陥っておりアダムとの思い出を全て紛失していたのだ。



デート終了後、燃える体を冷却するため全速力で海に飛び込み、そのままクロールで下の世界に帰っていくアダム。
これが真に優しい男の帰宅風景である。

物語が大詰めに入った頃にアダムが下の世界から来た侵入者であることがばれてしまう。勢いに任せてエデンも巻き込んで上の世界から下の世界に逃亡を試みる、本編屈指の夢のある逃走シーンがこちらです。↓

下の世界に引っ張られるアダムが上の世界に引っ張られるエデンをおんぶして無重力状態を無理矢理作り出してピョンピョン飛び跳ねる裏技を披露する、このシーンを思いついた監督はエライ!!
見ての通り僕はおんぶフェチなんですよ。

おんぶと相反するだっこは近年、図々しくも「お姫様だっこ」などと言う亜種まで作り出して世の乙女を洗脳する始末。これは非常によくない!!
ここで、いかにおんぶの方が優れているか聞いて頂きたい。例えば大好きな女の子と夕飯を食べた後、女の子が歩くことができないほど泥酔していた場合、男は当然その子を無事に家まで送り届ける義務があるわけです。だがここで妥協してタクシーを呼んだりしてはいけない。それは卑怯者のすることです
真に優しい男だったら、自発的に女の子を背中におぶってヨイショヨイショと歩き出すものです。女の子は背中越しに感じる安心感と温もりに守られグーグー眠るもよし、耳元でお礼の言葉をムニャムニャ囁くもよし、うっかり背中にゲーゲー嘔吐したって真に優しい男は怒ったり、嫌ったりしませんよ。盛大に吐くが良い
このようにおんぶはあらゆる要求に柔軟に応えてくれるだけでなく男の価値を高めてくれる、そんなおんぶは「男の本懐」と言っても過言ではない

もしも、同じ状況でお姫様だっこを行うと非常に見苦しい。
何かこう…佐藤健前田敦子の恥知らずな姿を連想して微妙な気持ちになるんですよね…。

                                       またね。