『マン・オブ・スティール』 −僕が存在する意味。−

                                      
                       

未だ「意味」を見つけられず、陰気さだけが日々増していくだけの道中、氷河の中から巨大な謎の物体が発見されたという情報を耳にして野次馬パワーを爆裂させたクラークは氷を掘り進み、氷の中で眠る物体と遭遇する。
この謎の物体の正体は、遥か昔、惑星クリプトンを飛び立ち地球へ訪れた調査船であった。
クラークはここで、本当のお父ちゃんであるジョー・エルの記憶をもとに作られた立体映像に出会い、自分が何者であるのか、生まれ故郷はどこなのか、そして本当の両親は誰なのか、長年知りたかった真実が彼の傷ついた心を癒し、満たしていく。

更にクラークは立体映像のお父ちゃんから青いタイツと真っ赤なマントを授かる。ジョー・エルの立体映像は語る。

お前はこれを装着して、地球人とクリプトン人の共存の懸け橋となるのだ。

どこまで正気なのか、イマイチよく分からない希望を託される。
同時にこの瞬間、クラークの心に巨大な葛藤が生まれる。

育ての親であるジョナサンとマーサの願い通り、この力を隠し地球人として生きていくべきか?
あるいは、真の父ちゃんジョー・エルの遺志に従い、クリプトン人として二つの人類の未来を担うか。
探し求めていた「意味」が今度は重くのしかかり、彼を苦しめる。

僕のような地球人では彼の悩みはあまりにも大き過ぎて、かける言葉も思いつかない。
だが、ハッキリと言えるのは知人が誰一人いない隣町までやって来て遠慮なくエロ本を本屋で買おうとしたら、中学生時代に大好きだった同級生の女の子がレジで待ち構えていた。そんな時、あなたはどうしますか? エロ本を諦め、過去の美しい記憶のまま彼女の心に残るか、それとも場末のスケベとして新たに記憶されるか…。
それに匹敵するほどの葛藤であったに違いない。
この状態でいっぱいいっぱいなのに、そこへ謎の宇宙船が地球に飛来する。

乗組員はゾッド将軍が率いる武闘派宇宙人たち。
彼らもまた、クラークと同じ惑星崩壊から逃れたクリプトン人の生き残りであった。
ゾッド将軍は「地球に隠れて生きる同胞を引き渡せ、さもなければ地球を襲う。」と惑星規模の脅迫を世界中に配信。
怯え切った地球人は地球を救う為、クラークの居場所を血眼になって調べ出す。
無敵の男のメンタル面はもはや限界。クラークは教会に足を運び、神様に救いを求める


宗教パワーに背中を押されクラークは地球を守るクリプトン人として、その身をゾッド将軍に差し出す。
だが、ゾッド将軍の真の目的は別にあった。彼の目的は僕らの地球を工事してクリプトン星に改造することだったのだ。
そんな手前勝手な工事を僕らのクラークが許すはずはない。
クラークはゾット将軍たちと闘うことを決意する。
遂に脱陰気!! 遂に始まる本職!!
                  
罪の無い一般市民を大量に巻き込んで、ビルを、街を、人工衛星をも叩き壊す大迷惑なクリプトン人たちの大喧嘩が繰り広げられる。
クラークよ。ジョー・エルの遺志はどうした? こんなことで地球人との信頼関係は築けるのか!?


ここで紹介したいのはゾッド将軍が信頼を寄せる副官の女戦士フォオラ・ウルの存在である。
銃で撃たれても、ミサイルを撃たれても無傷。長持ちするだけでなく圧倒的な破壊力と気品を兼ね備え、プリキュアが一億人ぐらい束になって向かって来ても動じないほどのスーパー・クール・ビューティー
  
さすがのクラークも息が絶え絶えである。
ファオラたんのビンタを喰らったら、僕の首の骨は確実にねじ切れるだろう。 それでも僕は彼女のビンタを1度味わってみたい

ところが、後から冷静になって考えてみるとゾッド将軍たちはクラークと違い、人工子宮の中で「兵士」としての役割を与えられて誕生した天然戦士たちなのだ。
クラークや地球人にはゾッド将軍たちの行動は侵略行為にしか見えない。だが、その侵略行為は「兵士」としてクリプトン人とその文化を護るための手段。根底にあるものはクラークと何一つ変わらない。 

そして、同じクリプトン人のゾッド将軍たちに敵意を向けたクラークは本当の意味で、地球でただ一人のクリプトン人になることを意味している。(スーパーガールが現れたら別だが。)セックスによって誕生し、遺伝子操作が干渉しない「自由な心」を持ったために悩み苦しむ、新スーパーマンの勇姿はあまりにも悲しく、限りなく人間的であった。

                      

                                             またね。