ラストスタンド ―おかえり、ヒーロー。―


手の施しようが無いほどの巨大暴力が覆いかぶさって来たとき、
僕らの胸が悲しみで一杯に成ったとき、
彼は突然ぶらりと現れ、火力と自慢の筋肉で巨大暴力を暴力的に全滅させて去っていく。
僕らは知っている。彼の名を、彼の名は……

*力強くネタバレしています。

生きたレジェンドがいる町、ソマートン

その日、護送中の麻薬王コルテスが大脱走した。FBIは猛追撃を試みるも、コルテスが逃走用に使っている車はヘリコプターですら追いつけない、時速400キロで走るシボレーコルペット ZR1。
奴の目指すゴールラインは国境、国外逃亡こそが奴の狙いであった。FBIは逃走進行上に警官隊を配置するも、コルテスのマネーパワーに支配された傭兵軍団がアッと言う間に警官隊を死体の山に変えていく。予想外の事態に天下のFBIも真っ青に…。
指令室でヤケクソ気味に地図を眺めるFBI捜査官ジョンは、国境近くに町があることに気づく。
町の名はソマートン。平和ボケが名産のソマートンであった。

この町にはがいる。彼の名はレイ(アーノルド・シュワルツェネッガー)。
強さと優しさが全身にフルチャージされた保安官だ。彼のおかげでこの町は常に平和だ。平和過ぎるのだ。そのため殺人的な暇が充満したパワースポットと化していた。
レイの部下である副保安官のマイクとジェリーは職務を自発的に放棄して、近所の武器マニアのディンカムと拳銃をバンバン無駄撃ちして、どこまでも続く暇と戦っていた。
暇人と化した副保安官たちの節穴過ぎる目を抜けて、傭兵たちが運搬業者に成りすまして、この町に流れてきた。目的はこの町でコルテスと合流することだ。
だか、マイクやジェリーは騙せても、レイのジャスティス・センサーからは逃げられない。レイは変装した傭兵に狂気を隠した笑顔で職務質問を開始する。
「コイツ、タダ者じゃない…」と本能的に危険を察知した傭兵たちは早々に立ち去るも、不安げな表情を浮かべるレイ。
「嫌な予感がする…。」

FBI捜査官ジョンからコルテスの情報をのせた緊急コールがレイのもとに届くも、時すでに遅し。副保安官のジェリーと近所のジジィが傭兵に殺害されてしまった。
かつて経験したことの無い非常事態に「このまま背を向けて、奴らが町を通り過ぎるまで隠れていよう。」とおっかない顔の割に弱気な発言をする副保安官マイクと怯えた子猫のようにプルプルと震える女副保安官サラにレイは「保安官のバッジが泣いているぞ…。だが、怖くて逃げ出しても構わない。私は君たちを責める気も、戦いに巻き込む気も無い。だが、このまま黙って悪党どもを通す気も無い!!
その表情はいつものニコニコしたレイとは程遠い別の表情であった。




最後の砦(ラストスタンド

レイの言葉に失いかけたジャスティスを呼び戻したサラとマイクは覚悟を決める。
覚悟を決めたのは2人だけではない。
保安官事務所で豚箱人生を送っていたダメ男のフランクが「レイ、俺も戦わせてくれ!ジェリーは俺のお友達だったんだ。仇を討たせてくれ!!」と絶妙なホモダチ感を猛アピール。
グッと来たレイは何のためらいも無く、フランクの拘束を解くのであった。
部下二人とホモを足したとしても勝ち目は無い。だが切り札はある
レイたちが向かった先は、問題児ディンカムが経営する武器博物館。レイから事情を聞いたディンカムは「そうか、じゃあ!!」と自慢のウエポンを提供し、自身も面白半分で戦いに参加する。
人殺し未経験の副保安官たちに戦闘値未知数のバカまで集結した即席アベンジャーズと傭兵軍団との圧倒的大差の大決戦が幕を開ける。
果たしてレイたちに勝ち目はあるのか?
麻薬王の国外逃亡を阻止できるのか?
もう、やるしかない!!
その時、即席アベンジャーズ奇跡の化学反応を起こした!!