きいろいゾウ -ネバーエンディング・あおいストーリー -


この『きいろいゾウ』はどーーーも、売り上げも評判もイマイチなようですが…
それが一体どうした!!
大ヒットしたとか、有名な映画評論家が褒めたとか、その程度のことで作品の価値は決まるのか?
そりゃ、確かに大儲けしたり、褒められりゃ嬉しいけどね。
でもね。面白い映画でもゴミみたいな映画でも重要なのは役者がいかに、体と心を犠牲にして映画作りに貢献したかですよ。与えられたキャラクターに全力で成り切った役者の姿に、僕たち観客はハートをときめかせたり、怒ったり、泣いたり、笑ったり、パンティーを駄目にしちゃったり。
これこそまさに、需要と供給が一致した最高の瞬間ですよ。ここでは上から目線の映画評論家の言葉も、売り上げの数字も関係ありません。
ただ純粋に映画を楽しむことだけに、気合を入れて全力集中!!
もしも、期待満タンで映画館に乗り込み上映終了後、肩を落として出てきたとしても、それはそれで楽しい思い出の1つですよ。
そんな気がする。


上映開始早々、怒鳴り声を上げながら、宮崎あおいたん演じるツマは風呂桶から飛び出し、全裸でムコ(向井理)のいる部屋へ全力ダッシュ
常人なら全裸のあおいたんに鉢合わせしたら確実に即死するが、ムコは慣れたもので、「まずは、服を着なさいよ。」とツマをなだめる。

風呂桶を覗けば、1匹の小さなカニが真っ赤に茹で上がっていた。
何だか分からんが、つかみとしては最高のオープニングで『きいろいゾウ』の幕は上がる。

駆け落ちして東京から田舎に転がり込んできたムコとツマ。
ムコは介護職に就きつつ、小説家になることを夢みて夜中にせっせと小説を書いたり、ツマの日々を日記に書いたりする、どこにでもいそうな男。
ツマは庭に生えている植物や近所の動物たち、足元で歩いているアリンコとお話できたり、雨が降れば歓喜の声を上げながら素足を泥んこにして傘もささずに雨の中、踊り出す、どこまでもピュアでファンタジーな、ちょっと異常な女の子でした。
この二人のスペックを比較したら一目瞭然なんですが、向井君もよく頑張ったんですが、あおいたんが彼の努力を全部パーにするぐらい凄まじかったんですよ。詳細は後々書かせて頂きますが、コンビニのハンバーグ弁当で例えるなら、あおいたんがハンバーグ、向井君はオシンコ、それぐらい差があったんです。

異常な人間はまだいます。柄本明が演じるアレチはムコが職場に行ったのを見計らって、ビールのタダ飲み目的でぶらりと現れたり、みんなでキン肉マンドンジャラするシーンは本編唯一の爆笑シーンである。
得体の知れない人物ゆえに、いつかツマの細い腰に手を回すんじゃないかってヒヤヒヤして観てたけど、そんなシーンは無かった。
話を戻しますね。

ある日、ムコあてに送られてきた差出人不明の謎の手紙。
ツマは何でもお見通しだったので、手紙の内容はムコが
ツマと出会う以前に東京で関係を持っていた女性に関することだと気づきました。急激に精神が不安定になっていくツマを心配し海に連れて行き、浜辺で自身の辛い過去を神妙な面持ちでツマに打ち明けるムコ。そして、そんなムコの顔を見ながら
行儀悪く座り、サンドイッチを汚く食べるツマ。あおいたんのセンスが光る!

そして、ついにムコが東京にしばらく滞在することをツマに告げる。
言葉を失うツマは、台所の蛇口を全開にしてムコを威嚇する。ツマをなだめるため、そっと蛇口を戻すも再び全開にするツマ。
実に幼稚なシーンだと観客が油断した次の瞬間、ツマはガラスのコップを握りしめ、ムコの手を必要以上に血が出るまで殴り続ける。
コップは砕け、気が済んだかと思えば、今度はその傷口めがけて、より破壊力がありそうな茶碗で暴力再開。
攻める、攻める、あおいが攻める!!演技の枠を豪快に通り越したあおいたんが、怒りの食器で恥知らずなムコを止めようとする。
それでもムコは東京に発進してしまう。
引き裂かれた夫婦。ひとり、がらんとした家に取り残されたツマには、すでに植物や動物の声を聞き取る能力が消えていた。
そこへ、ナイスタイミングでやって来る柄本明。(このシーンが泣ける!!)

過去を引きずり、お互いの心の傷を舐め合う夫婦にファンタジーな隠し味が効いたこの映画。
全裸全力ダッシュやセックスとあおいたんが新境地に挑むも、あおいたんの露出は全て背中だけなので、実際は大したものは映らない
エロに期待したスケベ野郎は「返せ!!金を!!」と怒鳴り散らすかもしれないが、度を越えた喜怒哀楽をスクリーンから乱れ撃ちする、あおいたんを堪能できるのだから、悪いことばかりではありませんよ!