『サボタージュ』

「僕らのアーノルド・シュワルツェネッガーがまたまた帰って来た!!」
って、またかよ!!と思っている方いますよね?
でも安心して下さい。今回のシュワは自身が持つイメージを台無しにするような、冷凍怪人Mr.フリーズ以上の凄い役に挑戦していますから!!

シュワと言えば、未来から来た殺人マシーンや宇宙狩人プレデター、超でっかい悪魔などリアリティのカケラも無い脅威から僕らの地球を守って来たスーパーヒーロー。だけど、本作でシュワが演じるのは麻薬取締部隊の隊長ジョン。人は彼を「破壊屋」と呼ぶ。キテレツ大百科で言うところのブタゴリラ的な力強いニックネームまでも、ほしいままに今日も頼りになる部下をお供に連れて悪党殺しに精を出す。マシーンとプレデターを倒した男に麻薬組織ごときが勝てるはずないので、アッ言う間に組織は壊滅。
しかし、ジョンの部隊にはもう一つの任務があった。それはドサクサに紛れて麻薬組織の金をくすね盗ること。
任務を終えて奪い取った金を山分けしようとした時、金は跡形も無く消えていた。一体誰が?

もう、済んだことは忘れようと飲み会を催して気を持ち直す面々。しかしこの後、信じられない悲劇が起きる。
チームメイトの1人が列車に踏み潰されて、酒臭い肉団子になって発見されたのだ。
「酒の飲み過ぎが原因か?」
悲観に暮れるジョンは死んだ仲間を弔うため再び飲み会を決行する。が、しかし、このあと再び仲間に悲劇が起きてしまう。
今度は腹を裂かれ、はりつけの刑に処せられた無残な姿で発見されたのだ。
「さすがに、これは酒が原因じゃないよな…。」
俺の部隊が狙われている

そう、全ては金をくすね盗ったあの日から始まったのだ。

金を盗んだバチが当たったのか? それとも、金を奪われ怒り狂った組織が始めた敗者復活戦か? あるいは、俺たちの中に裏切り者がいるのか?
推理する暇もなく繰り広げられる、『トータル・リコール』級のスーパー残酷にさすがの特殊部隊の精神状態はギリギリに。
信頼は消え、互いに疑いの眼差しと殺意を飛ばし合い部隊は爆発寸言。そして物語は、一つの哀しい真実に辿り着く。

現実味を帯びた犯罪映画として観れば我慢できても、シュワ映画として観ると何だか地味な映画だった思う。
「シュワが頭を使うな!! 筋肉を使え!!」と絶叫する人が出てくるかもしれません。
でも、この映画は「シュワの映画はどれも同じ」「暴れているだけ」などと誤解している人にこそ観て欲しい。
干からびたジャガイモみたいになった彼の顔から醸し出される、温かみと哀愁は一見の価値あり。シュワだってお芝居はできるんですよ!!
僕もこの映画を観て初めてそう思いましたから。