『美女と野獣』

キングコング』と双璧を成すファンタジー恋愛の金字塔『美女の野獣』の実写最新作。しかも監督はあのクリストフ・ガンズと聞けば期待しないわけがない!!
クリストフ監督と言えば、もののけ姫イノブタ怪獣が大暴れする『ジェヴォーダンの獣』を撮り、コナミの大ヒットホラーゲーム『サイレント・ヒル』が好き過ぎてコナミ本社に自分が監督したいとラブコールを送って監督権を勝ち取り、オタクの底力で見事に映像化させた信用できる方。
今度は『サイレント・ヒル2』を実写化するよと宣言し、僕らのハートを熱くさせたが…大事件は起きた。続編である『サイレントヒル・リベレーション3D』は『2』ではなく、何故か『3』を原作にしていた。もちろんクリストフはノータッチ。
こうして彼の意思が何1つ通わぬ愛の無い続編はゲームファンからだけでなく映画ファンからもサンドバックにされた。

ゲームと言えば、随分と昔にクリストフがカプコン原作の『鬼武者』を実写化するなんて言って、これまた僕らのハートを熱くしたが、まぁ、結局、色々あって実現されなかった。
僕らのハートは空焚き状態になったし、誰もが哀しい思いをしましたよね。
で、クリストフ監督の『美女と野獣』はダークな人間関係が渦巻く原作版に忠実。そのためバカガキでも理解できるディズニー版とは方向性がまるで違うので、ディズニー版が好きな方、夢を崩されたくない方にはオススメできません。というか観るな!!

金持ち家族の末っ子として生まれたベル。父親、3人の兄、2人の姉に囲まれたベルは贅沢の限りを尽くして何不自由なく生きていた。
ところが、巨大な嵐が一家の財産を根こそぎ吹き飛ばしてしまったが為にベルたちは無一文になってしまう。豪邸を捨て田舎へと移り住んだ一家は、自給自足の生活で何とか飯だけは食っていけましたが、バカな兄は借金ばかり作り、ブスな姉たちは服が欲しいだの、男が欲しいだのと生臭い愚痴を並べてばかり。そんな中、ベルだけは質素な田舎暮らしをエンジョイしていた。

ある夜、父親は森でミステリアスな城を発見。彼は恥を捨てて城の財宝を盗み出し、ベルを喜ばせようと城の庭に生えていたバラを1輪盗んだとき、彼の目の前に突如、怒り狂った野獣が現れる。
「よくも、私の1番大切なモノを奪ったな!!」と肉食動物なのにバラを愛する草食ハートな野獣は父親に「1日だけ猶予を与えるが、絶対に戻って来い。でなければ家族は皆殺しにする。」と脅迫。バラ1輪でまさかこんな目に遭う日が来ようとは…悲観に暮れる父親は子供たちに今日の出来事を洗いざらい打ち明けた。翌朝、責任を感じたベルは父親の身代わりとなって野獣の待つ城に向かうのであった。


さぁ、いよいよ面白くなってきました。殺される覚悟で城に向かったはずなのに野獣はベルを手に掛けることなく愛で始める。毎朝、新調された綺麗なドレスが用意され、昼間は広大な庭を探検し、夜の7時になれば豪華な食事。しかもお茶犬そっくりなカワイイ怪獣たちが後ろからヨチヨチついて来てハートをケアしてくれるだけでなく、手先が器用なのでベルに似せた人形まで作ってくれるのだ。自分のフィギュアを作ってくれる…普通だったらドン引きするプレゼントだけど、怪獣から貰えるなんて夢のようなサプライズじゃないですか。軟禁状態だけど最高に楽しいファンタジーな新生活を満喫するベルだが、野獣だけはなかなか心を開いてくれません。性格だけでなく行儀も悪く、嘘つきで、ベルの寝室に忍び込んで彼女の寝顔をデバガメ。変態行為に心血を注ぎ、ベルに怒られても「全権は私にある。」と主張する始末。キレると狩り立てのブタをヤケ食いする幼稚な王子様なのでした。欲を言えばベルの下着を盗んで叱られる姿も観たかった!!
ちなみにクリストフ版の野獣はオシャレに目覚めたライオン丸のようなルックスをしています。


表向きは『美女と野獣』だが、クリストフ監督は宮崎駿作品を意識して撮ったとのこと。
ジェヴォーダンの獣』から彼の志は1ミリもぶれていないことがうかがえます。
さらにクライマックスでは城の財宝を狙って、心無い人間たちが束になって攻め込んで来ると城の庭から巨人像が緊急発進して盗人どもをブチ殺して庭を血で染め上げる。
この燃えるような展開はさすがのディズニーでも描けまい。このシーンって何となく大映の『大魔神』みたいだな。
と思って観てたんですが…。
どうやら本当に『大魔神』を意識して撮っていたみたいです。クリストフ、お前って奴は!!
あと、もう1つ燃えたのは野獣がこの巨人像の肩に乗っかって指示を出していたんですが、もしかしたらクリストフは今川監督の『ジャイアントロボ 地球が静止する日』を参考にしたのかもしれませんよ。 いや、絶対に観てるだろ!!

アデル、ブルーは熱い色 スペシャル・エディション [Blu-ray]

アデル、ブルーは熱い色 スペシャル・エディション [Blu-ray]

ベルを演じたレア・セドゥが全裸ヒロインを大熱演したホロ苦い同性愛映画『アデル、ブルーは熱い色』がいよいよ発売!!