『メアリーと秘密の王国』

この物語は『ミクロキッズ』(89)と『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を足したような味わいを醸し出している。

主人公のメアリー・キャサリン高垣彩陽)が久しぶりに実家に帰るところから物語は始まる。なぜ彼女が家を出ていたのか詳しいことは語られないが、おそらく原因は父親であろう。彼女の父(無職)は「森には小人がいる!!」と言い出し、家族も職も、何もかも投げ捨てて小人の研究に没入してしまう。
その姿はもはや父親ではなく、ただの変人であった。しかも吹き替えた声優が千葉繁さんだった為、変人というか、奇人の高みへと向かっていた。久しぶりに父に会いに来たのに、相変わらず小人探しに精を出す父。磨きのかかった父の奇行にウンザリしたメアリーは再び家を出ようと決心する。

メアリーの家庭の問題以上に深刻な問題が近所の森で起きていた。それは自然を愛する武闘派小人たちが住む秘密の国と自然を腐敗させ、その上に闇の帝国を築こうと目論む悪の小人ボーガンとの長きに渡って続く闘いだ。メアリーは森の中で偶然見つけた「生命のつぼみ」に触れた途端、体の大きさがアッと言う間に縮んで小さな森ガールになってしまう。そして彼女が手にしたこの不思議なつぼみこそが、この戦争を終結させる最後の切り札であった。

体が縮み、ボーガンたちに追い回される彼女とつぼみを守る為に現れた秘密の国の勇敢な兵士たち。次から次へと舞い込む災難とミクロマン軍団たちを前にして、メアリーの脳ミソの処理能力は限界点を突破。何だか分からんが、とにかく私も戦うしかないと腹をくくったメアリーはボーガンとの決戦に身を投じる。

バカガキからお年寄りまで楽しめる物語に加えて、メアリーと若き兵士との間に芽生えた淡い恋、その恋をブチ壊してメアリーを横取りしようとするナメクジ。壊れた家族の絆が再生していく過程がしっかりと盛り込まれ、バトルしか芸のないアニメとは志がまるで違う。

特筆すべきは秘密の国の兵士たちを束ねる隊長の存在である。一般兵の鎧はファンタジーなデザインなのに対し、隊長だけはザンボット3なヘルメットを被り、体には陣羽織型アーマーを装着しメインウエポンは日本刀。
女王の前では正座する彼の名はローニン!!
秘密の国の武士道ソルジャー!!

トランスフォーマーロストエイジ』のドリフトをも越える和の精神を勝手に受け継ぎ、疾風怒濤の大活躍を見せる。
しかも吹き替えた声優は小山力也さん!!
だが、僕の前に座っていたチビッ子達には力也さんの渋さは理解できなかったようで、退屈そうだった。続編熱望!!


何と早くも発売!!