『オール・ユー・ニード・イズ・キル』 −砂糖3つ−

日本の本気を海外にブチ込んで誕生した本作は、宇宙怪獣「ギタイ」の侵略によって滅亡を目前とした世界が描かれている。その日、広告業界で働くケイジは戦場に居た。どー考えても戦力にはならないのに最前線に送られたこの男は、前日から口を酸っぱくして「これは何かの間違いだ!!」と訴えるも誰も聞く耳を持たない上に嘘つきの脱走兵と罵られる始末。理不尽はエスカレートして遂にバトルスーツを着せられ戦場に発進。スーツの扱い方も分からず、心の準備も出来ないまま、戦場のど真ん中にポイ捨て。ケイジは武器の安全装置すら外せず、無様な最期を遂げる。トム・クルーズなのに。

 
 目を覚ましたケイジは「何だ…夢か。」と安心したのも束の間、その日は前日だった。再びバトルスーツを着せられ戦場に放り込まれ、やはりまた死んだ。
目が覚めるとそこは、またしても前日だった。死んでも記憶と経験は引き継がれるこのミステリアスな現象をケイジは必死こいて兵士たちに説明するその姿は、もはや嘘つき脱走兵ではない。ただの壊れた大人だった。

 

 やがてケイジは戦場で巨大な剣をフルスイングして暴れる女兵士リタと出会う。リタは一目でケイジの人生がループしていることを見ぬき、「今度目覚めたら私を見つけて!」と告げる。再び目覚め、言われるがまま彼女を訪ね「明日の君に言われて…」とバカ正直に事情を話すケイジ。リタもかつて終わらない1日を過ごしていたが、今はその能力は失っていた。だが無意味に死に続けるケイジと違い、彼女は繰り返される1日の中で戦闘経験値をガッポリ稼いで「ヴェルダンの女神」と「戦場の牝犬」の二つ名を欲しいままにする最強のソルジャーとなったのだ。
そして今、かつての自分と同じ境遇の者が現れ、目の前に居る。やることは1つしかない、特訓だ!!
 

 


こうして頼んでも無いのにリタの門下生となってしまったケイジは、血の滲むような壮絶なシゴキと戦場での死を交えた経験を何度もくぐり抜け続け、時にはリタにも殺され、命をコケにして少しずつ強くなっていくその姿にロックマンを連想するも良し。『魔界村』のアーサーを思い浮かべるも良し。まぁ、何でも良いんですが。
 

 叩き上げられたケイジは遂に一人でも恐れることなく怪獣軍団に立ち向かえる程に成長。そして今度はその力でリタを守ろうと決意する。何度死んでも彼女を守ろうとするケイジに思わず胸が熱くなる。ケイジ、お前って奴は…。
リタは一見すると女を捨てた狂犬ですが、コーヒーには砂糖を3つ入れるチャイルディッシュな一面も持っている。か、かわいい―――!! (*´〜`*)
多分、これがケイジの心を決める切っ掛けになったんじゃないかな? これはもう男として命がけで守るしかない!!
僕の言っていることは間違っているかもしれませんが、女性向け雑誌は一刻も早く「砂糖3つで明日を輝かせる女の子たち」という特集を組むべきですよ!!