『キカイダー REBOOT』の感想文を書く前に

数いる石ノ森ヒーローの中で最も不憫なヒーロー キカイダーの再起動。個人的な意見ですが、ここ数十年絶望続きだった国産ヒーロー映画の中では一番楽しめた作品でした。
何よりも素晴らしいのは、僕らの大好きなヒーローが原形をとどめたまま悪の組織と戦っている!!
これまで数多くの昭和の特撮&アニメヒーローが実写化されてきましたが、シンプルなデザインを無理に複雑化させ、あるいは現実味を持たせようとか、その手間暇が結果的にがん首揃えて原形をとどめていない姿にさせてしまい、本来に姿に込められた意匠をパーにしてしまう。
仮にデザインに問題が無くても、脚本も油断できない。「ヒーローが悪の組織と戦う」という勧善懲悪をクソ真面目に撮ることを恥ずかしがっているのか、かつて世界平和のために戦ったヒーローがたったひとりの女のためだけに戦い始めたり、その省エネっぷりに僕らは絶叫した。バカな子供とバカな大人が大好きな世界観に大人向けの恋愛観を注入すれば、子供も大人も楽しめるのでは? などと根拠の無い足し算を試みる映画は基本的にコケる。幼稚なら幼稚、大人向けなら大人向け、どちらか一方に重点を置いた方が良いのに。バッカじゃない?

で、話を『キカイダー REBOOT』に戻すと、村枝賢一先生がデザインを務め、多少現代的な要素を入れていても本筋は勧善懲悪。必要以上に変な混ぜ物を入れていない。ただ純粋にみんなの笑顔を守るために戦うヒーロー本来の姿に、人が居なければ「キカイダー! 行っけぇー!」と思わず声援を送りたくなる。

アクションは昭和の時代から受け継がれてきた、昔ながらの着ぐるみ大アクション!! 俳優さんたちも体を張って頑張ってましたよ。
米国産ヒーローの派手なCGアクションと比べると安いなどと抜かす人もいますが、敗戦国にだって意地はあります。
予算は少なくても、CGに頼らなくても、工夫と体があればカッコイイ映画は撮れる!!

何だか愚痴っぽい前置きになってしまいましたが、次回はちゃんと『キカイダー REBOOT』の感想を書かせて頂きます。