『ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック』―走れ、ダイスケ―

                          

「えっ!! 次の感想文って『キック・アス』じゃないの!?」と思った方、いますよね? 甘い甘い!!
少し前の僕なら迷うことなく『キック・アス ジャスティス・フォーエバー』を鑑賞していたでしょう。
ところが、先週、名古屋で本物以上にかわいい生のヒット・ガールに会えた上に、恐れ多くも記念撮影まで!!
僕の心は彼女に根こそぎ持って行かれてしまったんです。これは仕方がない。



その結果、「この先、こんなにもドキドキするような…そんな刺激的な瞬間はもう無いだろうな…。映画版のヒット・ガールを観ても満たされまい。」
こんな思想を抱いてしまう僕は映画好き、ヒット・ガール好きとしては大失格なのかもしれません。
しかも、帰り際に生ヒット・ガールに「映画観に来て下さいね!!」とお願いされ、光の速さで「絶対観に来ます!!」と約束を交わしたものの…。
彼女はマスクをしていても分かるくらい満面な笑みを浮かべて喜んでくれてね。

僕は映画版のヒット・ガールよりも、生のヒット・ガールの方を好きになってしまったわけで…。

僕は日本一の裏切り者だよ…。



                         

まぁ、それはそうと、今回紹介する映画『ゲームセンターCX THE MOVIE 1986 マイティボンジャック』です。
この映画は有野課長こと、よゐこ有野晋哉さんが懐かしの名作から難攻不落のクソゲーまで、無差別にチャレンジして体力勝負でエンディングを目指す『ゲームセンターCX』という番組と1986年に繰り広げられた勇気の物語がファミコン用ソフト『マイティボンジャック』を通し、時空の垣根を超えてドッキング!!
文面だけだと意味不明ですが、そんな不思議な構成で紡ぎ出されていきます。

2006年の某日、有野課長は大勢のファンが見守る中、『マイティボンジャック』に果敢に挑んでいた。

時はさかのぼって1986年。
ファミコンガンプラ、カンフー、北斗の拳スケバン刑事、日本中の男子を熱狂させる好戦的な娯楽が、そこら中にゴロゴロ転がっていた1986年。

それまでファミコンと少年ジャンプにしか興味を持てなかった中学2年生のダイスケは、朝礼中に目があったクラスメイトのクミコに恋をする。その日からというもの、頭の中はクミコ! クミコ!! クミコ!!! クミコでいっぱいである。
「1秒でも長く彼女とお話ししたい!!」とダイスケの片想いは日増しに強烈になっていくも、進展は皆無。
おまけに自分の趣味や知識に女の子は興味ゼロ。痛いほどよく分かるよ。その気持ち…。

ある日、クミコもファミコンが大好きであるという貴重な情報を手にしたダイスケは高まる興奮を抑え、クールな面構えをキープしながら「君の好きなゲームは?」とさり気無く話題を振って急接近。
するとクミコの唇から「名前がボン…何とかで、爆弾が出てくるゲームが大好きなの!!」とガーリーな答えが飛び出し、大好きな女の子を前にしてはりきるダイスケは「待ってました!」と言わんばかりに「ボン」と「爆弾」をヒントに脳内で検索開始。
そして、導き出した答えこそが『マイティボンジャック』だった。


偶然にも『マイティボンジャック』を持っていたダイスケは、下心剥き出しで「今度、貸してあげるよ!」と約束する。
命運が掛かったゲームソフトをカバンに隠して登校するも、同級生の不良にバッタリ遭遇し、なす術もなくゲームソフトは没収。しかもナイス・タイミングでその現場をクミコに目撃されてしまうというダブル・アタックで少年の息の根は止まった。

数日後、勇気を振り絞って下から目線で返却を求めるも、事態はさらに悪化。
ダイスケの『マイティ』は近所でもっとも恐ろしい不良の元に送られ、しかもコイツはブラックホールの異名を持つ借りパクの達人だったのだ。
そして、今ここに男の意地が激突する難易度最強の延長戦が始まった!!
僕も中学時代に坂本真綾さんのCDを借りパクされた哀しい履歴を持っているから、その気持ちも痛いほど分かるよ…。


ここまで読むと「有野課長、物語と関係ないじゃん…。」と思うかもしれませんが、クライマックスで「そんな展開予想できるかよ…。」な奇跡のサプライズが用意されているので、有野課長が気になる方、ダイスケの恋の行方が気になる方、お金を無駄遣いできる方は、ぜひとも映画館で確認して頂きたい。