ブラック・ブレッド 〜すべては愛のために〜


↑ 予告ではダーク・ミステリーだなんて偉そうに紹介されてるいけど実際はピュアな少年がブチ切れて、ダーク・サイドに落っこちるまでの過程を描いたドライな親子愛映画です。

時は1940年代のスペイン。勝ち組と負け組が入り乱れる小さな村で殺人事件が発生。
その殺人事件を偶然目撃してしまった11歳の少年アンドレウ君。
これはアンドレウ君の目線で綴られていくボーイ・ミーツ・ガール・アンド・ホモな物語である。

警察の調査によって、アンドレウ君のお父ちゃんに殺人容疑がかけられた事を起点に村の大人たちがグルになって塗り固めて来たウソがジワリジワリと剥げ落ち、アンドレウ君は真実と衝突するというのが本筋なんですが…。
殺人事件以上にアンドレウ君に近づいてくる人間がどいつもこいつも、危険なプロフィールを持つ人たちでした。

【危険なプロフィールを持つ人たち】

アンドレウ君のいとこのヌリアちゃん。一見、可愛らしい小娘に見えるが…

 事件後、アンドレウ君は親戚の家で住むようになります。
そんなある朝、窓を開けてみると裸のヌリアちゃんがベランダに立って未発達な体をさらけ出して(信じられないかもしれないが、本当に脱いでます。)まるで深夜系萌えアニメのような展開に唖然とするアンドレウ君。
はたして、こんなにも可愛い子役にここまでさせる必要があるのか?

裸を見られたことに気付いたヌリアちゃんは「口を滑らせたら、あんたのタマを切るよ!」と品のない言葉で脅迫開始。
と、言いつつも「でも、あんたは特別なんだからね!」とアンドレウ君のほっぺにチューをして去っていくツンデレな姿にモテキ到来を確信するアンドレウ君。
僕はね。「こんな可愛い小娘にならタマキンを切られたい!」って思ったよ。


だが、ヌリアちゃんは通っている学校の先生とイケナイ関係を持つというエロアニメのような過激なプロフィールを持つ小娘だと知ってしまい、モテキ消滅を確信するアンドレウ君。
(この写真が二人のただならぬ関係を明らかにした、動かぬ証拠である。)


性体験の話題があがった際に、ヌリアちゃんに「あんたってセックスの事とか何も知らないのね。」的な上から目線の発言にムッとしたアンドレウ君は必死になって自分が知っている限りの性に対する知識を披露したが、「あっ、こいつ、にわかだわ。」とヌリアちゃんの眼は何でも、お見通しでした。
「そう、じゃあ、教えてあげる。」とヌリアちゃんはアンドレウ君の手を引き森の中へ…。

この後、起こる背徳的なレッスンは僕の口からはとてもじゃないけど言えません。


アンドレウ君の前に突如として現れた【翼をもった青年】。

 ある日、アンドレウ君は近所の森でチンチン丸出しで全力疾走する美しい青年に遭遇する。聞けば彼は重い病(心の病ではない)を持っており、「僕の背中には翼があってね。僕が望めば、いつだって別世界へ飛び立てるんだ。」と罪のない瞳で語り出す、そんなピュアすぎる青年の姿勢にアンドレア君は心を一撃でカツアゲされてしまう。

はたして、こんなにもピュアな俳優にここまでさせる必要があるのか?

余りにも個性的過ぎる人がたくさん出てくるので、「もう殺人事件の犯人なんてどうでもいいや。」と思い出した頃に物語は急ハンドルを切って事件の真相に向かい出し、犯人の正体を知った時、アンドレウ君は今まで自分が信じ、愛してきたもの全てとぶつかる。
心が磨滅し、空っぽ状態のアンドレウ君にすり寄るヌリアちゃん。
その一方で、彼女には近づいちゃダメだと警告するホモ青年。

しかし、アンドレウ君は、もはや以前のアンドレウ君ではなかった…。


この映画の結末はとっても重く悲しいけど。紛れもなく親子の愛を感じる傑作だと思います。
と、同時に僕のように『ぼくのエリ 200歳の少女』が大好きな人間がこの映画を観ると説教されているような、また、スペインの子役の底力と日本の子役の底の浅さをしってしまったような…そんな気持ちにさせられます。