わたしは生きていける


綺麗な金髪、済んだ青い瞳、僕らの永遠のラブリーボーン! フェアリーフェイス! 人外! シアーシャ・ローナンがまたまた帰って来た!!
彼女のファンタジーな顔面を観ているだけで僕らは大満足。もうこの際だ。内容なんていらん!!

この映画はシアーシャ演じるデイジーが戦争で狂気の泥沼と化したイギリスを突破するお話です。それも第三次世界大戦が勃発したという近未来。
デイジーは複雑な家庭環境で育ったため警戒心が強く、現実から身を守るために編み出した自分だけのルールを作って傷つかぬように生きてきた少女。しかも潔癖症

彼女はひと夏を過ごすために従兄弟の居るイギリスのド田舎にやって来た。彼女を出迎えてくれたのは育児放棄されながらも明るく生きる従兄弟が住むド汚い家だった。
フレンドリーと汚物を誰よりも嫌う彼女は絶叫した。


僕の考えは間違っているかもしれませんが、「都会からやって来た荒んだ少女がド田舎で癒される」という展開は僕の大好きな『思い出のマーニー』と似ている。そんな気がする。
デイジーも杏奈と同様に時間をかけてゆっくりと心が解放されていく流れもそっくり。
常にウンコを我慢しているような険しい顔つきのデイジーに笑顔を戻ってくるのは良いんですが、従兄弟と肉体関係を結んでしまうのは、正直どうかと思う。
このエロ漫画みたいな設定についてシアーシャは「ロマンティック」だと評価している。
シアーシャと従兄弟になりたいよ…。

ある日、核爆弾が落ちてきた
灰が雪のように降り積もり全てのライフラインが絶たれ、日常は完全崩壊。それでも子供たちは生き続けた。
デイジーは最悪なこの状況で初めて生きる喜びと愛を知ったのだ。
だが、その幸せな生活を引き裂くように怒鳴り込んで来た軍によって、男女別に違う施設へと送られてしまう。

戦争映画として本格的に動き始める後半。
戦争映画といっても、この映画には戦車や戦闘機のようなスーパーウエポンがド派手に大暴れするシーンは無い。あるのは強制労働、夜中に響く爆音、ゴミ袋に詰められた子供の死体。敵兵にレイプされた女。ド畜生のロリコン。デイジーの目に映る世界はまさに天外魔境であった。

デイジーはある夜、愛し合った従兄弟の夢を見る。「正夢かもしれない…。」と根拠の無い理由で施設を脱走し、みんなで楽しい日々を送ったあの家に戻る計画を企て始める。
もちろん、まだ戦争は続いている。ただでは済まぬと承知の上で彼女は戦場を駆け抜ける。
大好きな人たちと築き上げた世界に戻るために。

砂糖菓子みたいな甘い前半と手加減の無い地獄の後半戦。映画的には面白かったけど…。
放射能が漂っているはずなのに平然と歩き回る様子が描かれていたりと今の日本には全く通じないマヌケなシーンが多いんですねよ…。