オープン・グレイヴ 感染

『オープン・グレイヴ 感染』の感想を書く前にこの映画を撮ったゴンサーロ・ロペス=ガイェゴ監督のことを少し話したいと思う。面白い名前だなぁ。
僕が初めて観たゴンサーロ作品は『アポロ18』でした。

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アポロが持ち帰った月の石にまつわる恐るべき真実を明らかにした、それはそれは衝撃的な映画だったが本編は大して面白くなかったと記憶している。
しかし、エンドロールで心にジ〜ンと来る曲が流れた瞬間、僕は全てを許してしまった。音楽って凄いなぁ!!

↑こちらが僕の心にジ〜ンと来たオンリーワンな一曲。


そして今回、ゴンサーロが我が国に送り込んできたのが、この『オープン・グレイヴ 感染』であった。
しかし、この『感染』という気の利かない邦題のおかげで「ウイルス系の映画」であることは容易に想像が付いてしまう。
だが、石ころで映画を撮ってしまった奇才の手に掛かれば、一味違った映画に早変わり。

物語の主人公は無数に転がる死体の中で目を覚ます。臭い!汚い!! しかも、何でこうなったのか記憶が無い!!!
ゆうべ飲み過ぎたとかの話ではなく、男は完全に記憶喪失に陥っていたのだ。墓穴から這い出た男は深い森を抜けた先に、灯りのともった家を見つけ誤解を恐れずにズカズカと乗り込むと、そこでは5人の男女が何やら神妙な顔つきで佇んでいた。

男は自分が記憶喪失であることを告げると、なんと5人の内4人もまた記憶喪失で最後の1人は口のきけぬ女性であった。まさか、記憶喪失が5人も出てくるなんて
このように、冒頭からそんじょそこらのウイルス系映画とは異なるミステリアスな展開を見せる本作。
『第9地区』で帰り道を失った男を演じたシャールト・コプリーがここでもやっぱり帰り道を失った主人公を大熱演し、マヌケな物語に深みを与えている。明らかに他の記憶喪失者とは志が違うんですよね。迷子の役ですが迷いが無い!!


全員記憶喪失じゃ物語は進展しないので早々に未知のウイルスに感染した近隣住民が現れますが、違いの分かる奇才の手に掛かれば感染者は元気良く走り回るだけで済むはずもなく、ケガ人を装って親切な人を襲うズル賢い感染者、真面目に働く仕事熱心な感染者、オナニーに夢中になる感染者などなど、症状に個人差をつけることでお客さんは「次はどんな奴が出るんだろう?」 と欽ちゃんの仮装大賞を観ているような感覚になるわけです。
映画自体はやっぱり大して面白くなかったけど。
それでも、エンドロールで流れるこれまた心に沁みる曲が流れたので、全てを許す、わけないだろ!!


↑映画自体は許せなかったが、この曲はいいですね♪